皆さん、こんにちは。ゆうきです。以前、酸化防止剤について書かせていただきました。
さて、この酸化防止剤、『悪者』と思われていることが多いのですが、どうなのでしょうか?
酸化防止剤は体に悪い?頭痛になる?酸化防止剤は使わない方がよい?
でも、以前書いたように、ドライフルーツや缶詰にはワイン以上に酸化防止剤が使われていることも多いから、そんな人はドライフルーツ食べたら悶絶するはずだし・・・
ということで、今回は酸化防止剤無添加ワインとは何か、そして無添加ワインのメリットとデメリットについて書かせていただきました。
Contents
無添加ワインとは
最近はコンビニで売られているワインの中にも、「無添加」表記のワインを見かけるほど、身近な存在になった『無添加ワイン』。皆さんも一度は見かけたことがあると思います。
でも、そもそも無添加ワインとは、どんなワインのことを言うのでしょう?
無添加ワインとは、『無添加』という名の通り、酸化防止剤を添加していないワインの事をさします。
では、そもそも酸化防止剤とは一体どんなものなのでしょう。
ワインに使われる酸化防止剤とは、亜硫酸塩の事です。
亜硫酸塩には二酸化硫黄、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウムなどがあり、全て「亜硫酸塩」と表示されます。
一般的には二酸化硫黄(SO2)が使われることが多いようです。
酸化防止剤を添加する理由
酸化防止剤の主な役割は下記のようになります。
①原料のぶどう果汁の酸化を防ぐ
②ぶどうに付着していた腐敗菌などの有害微生物の繁殖を防ぐ
③発酵段階で出るアルデヒドのような不快な香りの成分を除く
④できあがったワインの酸化を防ぐ
そのため、酸化防止剤を添加するタイミングつぎのような時が一般的です
- ぶどうの段階
- 果汁の状態
- 発酵段階
- 瓶詰する時
ぶどうの果皮には多くの酵母菌が付着しており、それがワイン造りに大きな影響を与えますが、中には腐敗の原因になったりする、ワイン造りに好ましくない細菌などが付着していることもあります。
また、瓶詰するときには、ワインが酸素と触れることになるため、酸化防止剤を添加して劣化を防いでいます。
酸化防止剤の添加というと、出来上がったワインを保存するためだけに添加するというイメージがあるかもしれませんが、上記のように、ワイン造りにおける酸化防止剤の添加は、保存の目的以上に、健全なワインを造るという理由があります。

無添加ワインのメリット・デメリット
ワインの添加物について色々と書かせていただきましたが、ここからは無添加ワインのメリットとデメリットについて書いていきたいと思います。
無添加ワインのメリット
まずは、無添加ワインのメリットです。
- ぶどう本来の自然な味が楽しめる
- 健全なぶどうで育てたワインが飲める(可能性がある)
- 健康的な気分になれる
上記の3つが挙げられると思います。
1についてですが、「酸化防止剤の功罪」の記事にも記載しましたが、亜硫酸塩はワインの味に影響を与えます。また、コラージュした場合も味に変化がありますので、普通のワインでは体験できない味が楽しめるのは、無添加ワインのメリットと言えるでしょう。
2については、ブドウの栽培に力をいれて、厳しい剪定をすることによって、ワインの原料となるぶどうの質を高めると、酸化防止剤を使用しなくても、良いワインを造ることができます。
そのため、無添加のワインには、生産者が良いぶどうを育てた可能性があるのです。
もちろん、無添加ワイン=良いぶどうを使っているということではありません。あくまで、可能性があると言うことです。
3については、単なる思い込みがほとんどだと私は思っているのですが、その思い込みは人間にとって重要だったりします。
例えば、高いワインと言われて出されると何となく美味しく感じると言うこともあると思います。そのため、プラシーボ効果(偽薬で効果があること、つまり病は気からの逆バージョンですかね)によって、飲んでいるワインが美味しく感じたり、健康になった気分になれるのは、個人的にはメリットと言えるのではないかと思います。
きちんとした根拠は全くないため、人に勧める理由にはならないですが、「無添加」に惹かれる人が、個人で楽しむ分には良いと思います。


アメリカのアレルギー・臨床免疫学部門トップのデービッド・ラング博士によると、100人に1人もいないけど確実にいるらしいです!
ただ、酸化防止剤アレルギーの人は必ず慢性的な喘息を患っているらしく、28年間の診療で亜硫酸塩に「純粋なアレルギー反応」を示したのはただ1人だったそうです。




無添加ワインのデメリット
次に無添加ワインのデメリットについてです。無添加ワインのデメリットについては、
- 劣化したワインに当たりやすい
- 保存がしにくい
以上の2つが考えられると思っています。
1については、先ほど、酸化防止剤の役割(つまり、添加理由)を書きました。
そこに書いたように、酸化防止剤には、ワイン造りにおいて、ワイン中に有害な物質を発生させないようにする効果があります。
そのため、無添加ワインは、酸化防止剤を添加したワインに比べて、劣化したワインに当たる確率が高くなります。
2については、無添加ワインには早飲みタイプのものが多かったり、温度変化に敏感だったりと、保存が難しいという面があります。
以上のことから、ワインの「品質」の面を考えると、どうしても無添加のワインには不安が残ると思います。

日常消費に適した価格ですし、「やっぱり酸化防止剤無添加が良い」という方は試してみてはいかがでしょう。劣化していないものに出会えるのではないでしょうか
(ただし、これらを扱っているお店はスーパーなどで、保管の難しい無添加ワインをどう扱っているかは不安ですが・・・)
【おまけ】酸化防止剤だけじゃない、ワインに使われる色々な添加物
ワインの添加物と言うと、酸化防止剤を思い浮かべると思いますが、実はワインには様々なものが添加されています。
例えばベントナイトです。ベントナイトとは、建設などに使われる粘土の一種です。
ワインは出来た直後は、微細な沈殿物や酵母などが含まれているため、濁った状態になっています。そのため、清澄作業(コラージュ)を行って、ワインの不純物を取り除くのですが、その時にワインに添加されるのがベントナイトです。
コラージュにはベントナイト以外にも、卵白やゼラチン等、様々な物質が使われ、また、造り手によっては行わないこともあるため、必ずベントナイトが使われるわけではありませんが、コラージュの時に添加される物質は、全て添加物と言えるのではないでしょうか。
もちろん、コラージュしない場合は無添加ですが、多くのワインはコラージュを行っています。

コラージュに使われる物質は、表示義務がないため、気にする方は少ないですが、酸化防止剤を気にするのであれば、これらについても気にする必要があるのではないかと思います。
もちろん、酸化防止剤と違って、取り除いてから瓶詰めされるため、ワインの中に直接添加されているわけではありませんが、コラージュ由来の物質がワインに混入している場合もあります。
そのため、ワイナリーによっては、ラベルに表示してあるものもありますし、自然派ワインの中には、コラージュをしないことをウリにしているものもあります。自然派ワインに濁ったものが多くみられるのはこのためです。

まとめ
今回は無添加ワインのメリットとデメリットについて書かせていただきました。
個人的な意見としては、ワインの味や品質面を考えると、基本的には無添加ワインが主流になることは無いと思っています。
フランスの高級なワインに、無添加ワインが存在していないことからも、それが実証されていると思います。
ですが、無添加ワインを否定するわけではありません。ワインの一つのカテゴリーとしては、無添加ワインは十分に楽しめる存在だと思っています。
添加物についてきちんと理解したうえで、それぞれのワインのメリット、デメリットを考えながら、自分が一番楽しめるワインを飲んでいただければと思っています。